一定期間の特例措置として、生活保護制度の運用を緩和し、積極的活用を求める日弁連会長声明
新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの一定期間の特例措
める会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/
政府は、本年4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基
れを全国に拡大、5月4日には同月31日まで延長した。これに伴
少又は喪失に見舞われ、生活困窮に陥る人々が増え始めている。仮
れるであろうことからすれば、今後、時間の経過とともに生活困窮
こうした生活困窮に対応するのが生活保護制度であるが、我が国の
により、厳しい資産要件や扶養義務者に対する調査等、利用に当た
稼働能力活用要件の判断を留保し、就労・自営収入減少者に対する
務連絡を発出しており、それ自体は評価することができる。しかし
まると言わざるを得ない。
一時的な所得保障さえあれば急場を凌ぐことができ、感染拡大収束
ためには、目下の特異な状況下における特例措置として、先に述べ
とが有益であり、必要である。それは、平常時においてさえ人員不
員及び要保護者の感染拡大を防止しながら、迅速な決定で生活困窮
そこで、当連合会は、厚生労働省に対し、生活保護制度の誤解や偏
るとともに、新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの一定
用を抜本的に緩和する厚生労働省通知を発出し、それによって、同
1 面接相談窓口の負担軽減、感染拡大防止、給付の迅速化のため、持
2 緊急事態宣言期間中及び終了後一定期間は、生活保護法4条3項の
で保護の要否判定を行うこと。
3 その場合、保護開始時の現金・預貯金は最低生活費の5割しか認め
認めること。
4 厳格な要件下でしか自動車の保有を認めず、保有を認められた失業
い運用を改め、原則として自動車の保有及び使用を認めること。
5 住宅ローンを負担する者に対する保護の適用を原則として認めない
て、住宅ローンを負担する者に対しても保護の適用を認めること。
6 一定の在留資格を有する外国人についてのみ生活保護法の準用を認
留資格の有無・内容にかかわらず同法の準用を認めること。
7 扶養義務者に対する調査は、急迫事由が止んだ後に行うものとし、
養義務者に対する調査を省略する取扱いを改め、「明らかに扶養義
ること。
8 住居のない要保護者について、無料低額宿泊所等の集団処遇施設に
項のとおり居宅保護を原則とし、居宅確保までの一時的居場所とし
すること。
2020年(令和2年)5月7日
日本弁護士連合会
会長 荒 中