くらし支える相談センターのブログ

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憲法25条と生活保護法に基づいて困窮者の命と生活を守るのは、法に基づく行政の義務

今年の5月中旬に、群馬県館林市で、生活保護が適用されていた身元不明の認知症の女性の身元が判明し、館林市が親族に対して、この女性に関して支出した約1000万円ともいわれる生活保護費の返還を求めるかどうかの報道がありました。

館林市は、人道的見地からの保護であったので、請求しないとコメントしていることについて、司法書士の徳武さんが、違和感を表明されています。


http://ameblo.jp/tokutake-satoko/entry-11868099880.html


「身元不明の女性の生活を行政が支える------とても好い話ですが、館林市は法に基づいてなすべきことをしただけ、ともいえます。そして、それができるからこそ、生活保護制度や行政の役割はとても重要で、存在意義があります。普通に生活保護法を適用して、普通に人の命を救うことができる、それだけの力が行政にはあります。」

しかし、行政としては、「どんなことがあっても、生活保護があるから大丈夫ですよ」と、命を救う制度と権限を持っていることをこそ誇ってほしいと思います。
 それを「人道的見地」と評してしまっては、あたりまえの手続を特別視してしまうことになります。逆に、63条返還についての調査を行わず、なすべき手続を曖昧にすることもつながります。
 そして、なにより当たり前に利用できるはずの生活保護社会保障が、〈お恵み〉的な制度であるかのように落とし込むことになり、とても危険だと感じています。

 憲法25条と生活保護法に基づいて困窮者の命と生活を守るのは、法に基づく行政の義務であって、決して人道的見地から行うものではありません。ただ、それは決して、行政には暖かみが要らないとか、そういうことではないのですが。」

なるほど、そのとおりと思いました。

行政の方は誇りをもって、実践をお願いしたいと思いました。

相談員N