くらし支える相談センターのブログ

名古屋市北区の暮らしの困りごと相談所。 相談料は無料。お気軽にご相談ください。どこの方でもOK。 電話 052−916−7702(受付時間13時~17時) 名古屋北法律事務所と暮らしと法律を結ぶホウネットの共同運営

国の補助率縮小見直しを 生活保護世帯の学習支援 中日新聞の記事より

相談センターを応援してくれる中日新聞の白井記者の記事です。

国は予算を確保して学習支援事業を拡張してほしいと思います。子どもたちが、きちんとした学習支援を受けることにより、将来的には必ずいきてくるものではないでしょうか。

「暮らしと法律を結ぶホウネット」も、名古屋市のモデル事業を受託した北医療生協に協力して事業を始めます。
当面は、くらし支える相談センターを、学習支援の会場として利用してもらうことになりました。

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2014052902000002.html

生活保護世帯の中学生らを対象にした学習支援事業を行う自治体が各地で増えているが、来年度以降は事業を縮小する自治体が増えかねない状況だ。制度変更によって国の補助率が縮小され、自治体の負担が大きくなるためだ。この事業の関係者らは「貧困の連鎖を防ぐ重要な事業なので、国は何とか予算を確保してほしい」と訴えている。

 この事業に県単位でいち早く取り組んだのが埼玉県だ。二〇一〇年秋に県内五カ所に中学生対象の学習教室を設置してスタート。今では学習教室は、中学生対象が十七カ所、高校生対象が七カ所と増えている。さいたま市も独自で七カ所に学習教室を設置している。

 県事業の中学生を対象にした教室を見学させてもらった。特別養護老人ホームの一室が午後六時すぎから教室に様変わり。三人の男子中学生が自転車で到着した。支援員や大学生ボランティアらがマンツーマン方式でじっくり教える。指導は無料で受けられる。

 中学一年のときから通っているという中学三年生は「成績が二倍(五段階評価の合計)になったのがうれしい」「クリスマス会などのイベントも楽しい」などと話してくれた。

 中学になると授業についていけない生徒が増える。生活保護世帯の場合は貧困で塾に行けない上に、一人親世帯の比率が高く、その親が病気がちであることが多いなど環境が厳しい。そのため、普通の生徒よりも成績が悪くなったり、希望を失ったりしやすい。

 こうした生徒らの多くが、丁寧に教えてもらうことで理解できる部分が増えて自信を取り戻す。支援員らはこの教室への参加を勧めるため、家庭訪問も実施する。支援員らは「生徒らが教室を『居場所』と感じてくれている」と話す。

 一三年は、県事業の対象になり得る保護世帯の中学三年生七百六十七人のうち三百十六人が教室に参加。そのうち三百九人が高校に進学した。進学率は97・8%。この事業がなかった〇九年の生活保護世帯の中学三年の高校進学率は86・9%だったので、事業の効果は明らかだ。

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 こうした学習支援事業は、今では名古屋市浜松市など全国各地の自治体が展開している。国や自治体が貧困の連鎖を防ぐ効果を認めているからだ。

 生活保護の受給者の約四分の一は子どものときも受給世帯だ。貧しいことなどが原因で高校に行けず、働こうとしてもいい仕事に恵まれず失業しやすい。そのため、生活保護を受ける状況に陥りやすい。教育支援事業によって、高校などへの進学率を高められれば、連鎖を食い止めやすい。

 ところが、この事業への国の補助率が一五年度から縮小される。本年度までは、生活保護受給者の自立支援事業の枠組みの中で、国が自治体に費用の全額を補助してきた。一五年度からは同年度施行の生活困窮者自立支援法にもとづく学習支援事業の枠組みに変わり、補助率は半分になる。

 国の全額補助を受けて学習支援を大掛かりに実施してきた自治体ほど負担が重くなる理屈だ。

 生活保護の自立支援事業は、職業訓練や住宅確保なども従来通りの国の全額補助のめどがたっていない。このため、埼玉県の上田清司知事は今月十三日の関東地方知事会議で、生活保護受給者に対する自立支援事業の補助率をこれまでと同じ100%とするよう国に要望していくことを提案。他の知事らの同意も得た。

 厚生労働省の関係者は「学習支援の国の補助率は生活困窮者自立支援法で定めているので(変更は)難しい面があるが、要望に応えられるよう努力したい」と話している。

 (白井康彦)