くらし支える相談センターのブログ

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日本福祉大学生の学習支援活動 アンビシャスネットワーク

日本福祉大学の学生たちが取り組んでいる貧困世帯の子どもたちへの学習支援活動が、朝日新聞に取り上げられました。

継続的な活動を行うために社団法人を目指すなんてすばらしすぎます。


2014
823日 朝日新聞 名古屋朝刊

貧困の子に学びの場を 日本福祉大生ら学習会、社団法人目指す 【名古屋】

 「貧困が学びの権利を奪っていいはずがない」。そんな問題意識から、生活保護世帯などの中学生に、無料の学習会を開いている若者たちがいる。日本福祉大学(本部・愛知県美浜町)の学生団体「アンビシャス・ネットワーク」。活動を本格化させようと、社団法人化を目指している。

 ある月曜日の夜、愛知県半田市の会場に中学生15人前後が集まった。勉強を始める子もいれば、しきりに学生に話し掛ける子もいる。「ここは学びの場でもあり、子どもの居場所でもある。少し年の離れたお兄ちゃん、お姉ちゃんとして話し、子どもが将来の夢を描く手伝いをしたい」。同大4年で中心的メンバーの田中嵩久さん(21)は話す。大学で指導を受けた教員の影響で貧困問題に興味を持った。ホームレス支援に関わるなかで、貧困が親から子へとつながっていく傾向に気づいた。「負の連鎖を断ち切りたい」。福祉や教育学を学ぶ学生として考えたのが、生活困窮家庭の子どもの学習支援だった。2012年1月、支援活動開始。会場の提供などで半田市の協力を得て、今年度は市内2カ所で、週に1回ずつ学習会を開く。45人前後の中学生をほぼ同数の大学生が教える。今年度の代表を務める3年の平沢彩未さん(21)は、2年間通った男子が今春、「高校に受かったよ」と笑顔で報告に来た姿を忘れられない。男子は母子家庭に育ち、勉強にも集中できず、人付き合いも下手だったが、次第に後輩への思いやりを見せる生徒に変わっていった。つらい経験もあった。以前通っていた女子生徒は生活保護世帯に育ち、自己肯定感を持てずにいた。学習会に通う中で少しずつ前向きになり、志望校も決めたが、受験直前になって、「試験にお金を回すなら、家のために使いたい」と断念。平沢さんは、言いようのない悲しさを覚えた。社団法人を目指すことにしたのはこうした経験からだ。「学生団体では毎年メンバーが入れ替わる。卒業した中学生の居場所でもあり続けるためには、継続して関われる仕組みが必要だ」。サークル活動では、公的助成も受けにくい。基盤を固め、本格的な活動を目指すことにした。田中さんは卒業後、ホームレス支援をする名古屋市NPO法人で働く一方、社団法人の共同代表になる予定だ。「子どもは未来の社会の担い手で、貧困問題を放置すれば影響は長期に及ぶ。粘り強く活動に取り組んでいきたい」と話す。

 ◇キーワード <学習支援>

 子どもの貧困率が過去最悪の163%(2012年)になるなど深刻化するなか国の補助金を活用して、生活保護受給世帯の中学生らに無料の学習支援を実施する自治体は昨年度、130に及んだ。厚生労働省によると、12年度の卒業生の場合、生活保護世帯の高校進学率は899%だったが、学習支援参加者の場合、944%だった。愛知県内では、名古屋市豊橋市なども実施している。一方で、日本福祉大の学生サークルのように民間団体が主導する取り組みも広がっている。