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児童虐待通告、最多1272人 「面前DV」が急増 1~6月 /北海道

◆平成28(2016)年11月7日 毎日新聞 地方版

 マンデーリポート2016:児童虐待通告、最多1272人 「面前DV」が急増 1~6月 /北海道

 <Monday Report 2016>

 道内でも児童虐待が増加している。道警が今年1~6月、児童相談所に通告した件数は過去最多の延べ1272人に上り、昨年9月には札幌市手稲区の4歳男児が養父に殴られて死亡する事件もあった。親が子どもの目の前で配偶者らに暴力をふるい、子どもに不安や恐怖心を植え付ける「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」も急増しており、関係団体は対応を強化している。

 

 ◇支援体制を拡充

 道警は今年1~6月、虐待を受けている疑いがあるとして18歳未満の子ども延べ1272人について児童相談所に通告。前年同期比23%増で過去最多だった。道警子供・女性安全対策課によると、内訳は▽心理的虐待984人▽身体的虐待231人▽ネグレクト(育児放棄)56人▽性的虐待1人――となっている。

 昨年9月に発生した札幌市手稲区の事件では、男児(4)が腹を殴られ死亡したとして、養父(25)傷害致死容疑で逮捕された。事件の約2週間前、男児は持病の治療で入院。病院が複数のあざに気付いて児相に通告したが、児相は虐待の事実が確認できなかったとして、男児を保護せず、在宅指導することにした。

 この事件の対応を検証した同市の有識者会議は今年9月、「認識の食い違いで、虐待リスクの判断ができず、適切な支援につながらなかった」と市の責任を指摘した。市は同会議の報告書に基づき、現在は中央区の児相のみとなっている児童福祉司の配置を各区の相談窓口に拡大することなどを検討している。

 

 ◇心に深い傷痕

 道警の児相通告件数の心理的虐待984人のうち、面前DVは9割弱の855人を占める。道内の児相が対応した2015年度の面前DVなどの心理的虐待件数は2484件に上り、11年度比で5倍増となっている。面前DVは子どもの心に深い傷痕を残すと言われ、保護した後も恐怖心に襲われることがあるという。

 道内のDV被害者らを支援する団体によると、母親が父親から身体的・心理的暴力を受けていた女子中学生は母親とともに保護された後、大きな声を出す男性教師を見て過呼吸になるなど影響が続いた。幼少期に面前DV被害に遭い、成人後に自らDV加害者になってしまう男性もいるという。

 

 ◇自立支援が重要

 DV被害に遭った母子らを一時的にかくまう道内の「シェルター」は、道立女性相談援助センター(札幌市西区)のほか、札幌▽函館▽旭川▽室蘭▽帯広▽北見▽苫小牧▽釧路――の8市にある。8市のシェルターは道の委託を受けた民間団体が運営している。

 道内で初めて民間シェルターを開設したNPO法人女のスペース・おん」(札幌市中央区)によると、シェルターの平均滞在日数は25日。養育費が得られることはほとんどなく、避難者が経済的に自立することは難しい。同法人の山崎菊乃代表理事は「行政による就労支援に加え、直接的な経済支援がなければ、DV被害者の独り立ちは困難」と指摘している。