家賃保証会社に登録制導入 国交省 悪質業者の排除狙う

家賃保証会社に登録制導入　国交省　悪質業者の排除狙う
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10188660R01C16A2CR8000/

　賃貸物件の契約で、連帯保証人に代わって滞納した家賃の支払いを一時的に引き受ける家賃債務保証会社について、国土交通省は今年度中に任意の登録制を導入する方針を固めた。保証会社の利用が広がる中、悪質業者をめぐる相談や苦情が相次いでいる。同省は登録制により、情報開示を促し適正化を図る。
　マンションやアパートの賃貸借契約では、ほぼ全ての貸主が借り主に連帯保証人を求めている。だが近年は核家族化や高齢単身者の増加などにより、家賃債務保証会社が保証人の代わりになるケースが多い。
　国交省によると、2015年度の保証会社と借り主の契約件数は119万件。不動産の賃貸借契約の６割で利用している。ただ保証会社に対する法規制は無く、トラブルも相次ぐ。
　消費者庁には、契約内容をめぐる相談・苦情が09年度以降、毎年度600件超寄せられる。家賃滞納者への強引な取り立てなど悪質業者の存在も指摘されている。
　同省は、こうした状況を踏まえ、保証会社について任意の登録制を導入する。登録会社には、借り主の帳簿の保存、不動産仲介業者を通じての契約時の重要事項の説明や書類交付の徹底のほか、借り主からの相談専用窓口の設置を求める。登録会社名は同省のホームページで公開する。同省が把握する保証会社は全国で147社あるが、情報開示の徹底など適切なルールの順守を掲げる業界団体に加盟しているのは55社にとどまる。
　同省は業界団体などを通じて登録を呼びかけ、不動産仲介会社に対して登録会社の活用を促す。問題が発覚し、指導をしても改善が見られない場合は登録を取り消す。
　同省安心居住推進課は「登録制の導入で保証会社に情報開示と法令順守を促し、物件の借り主が安心して利用できる環境づくりを進めたい」と話している。

　▼家賃債務保証会社　賃貸マンションやアパートの借り主が家賃を滞納した際、連帯保証人と同様に家賃を立て替える会社。借り主は、契約料のほかに毎年保証料を払う方式が主流で、保証会社が立て替えた家賃は借り主が支払う必要がある。消費者金融やカード会社、宅建業者が手掛けていることが多い。