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子ども医療費助成制度

愛知県保険医協会が、愛知県内の自治体の子ども医療費助成制度についての調査結果をホームページで紹介しています。

 

https://aichi-hkn.jp/system/190527-080000.html

 

 

通院・入院とも対象拡大進む

保険医協会地域医療部は、2019年4月1日時点での「子ども医療費助成制度」の実施状況を調査し、県下全市町村にあたる54市町村から回答を得た。その結果を報告する。

子ども医療費助成制度(通院)は、愛知県制度が義務教育就学前まで窓口負担無料としているが、多くの自治体が県制度を上回る「中学校卒業」以上を対象としており、その数は2018年4月現在、49市町村(90.7%)であった。協会地域医療部では更なる対象拡大を求め、毎年全市町村に要望書を提出している。

 

通院で対象を拡大する自治体増加
「中学校卒業まで窓口負担無料」としていない残り5市(半田市津島市常滑市愛西市北名古屋市)でも今回の調査で、一部負担金や所得制限が残るなど不十分ながら、昨年以降対象を拡大していることがわかった(下表参照)。津島市は18歳年度末まで(中学校卒業後は所得制限あり)、半田市が18歳年度末まで、愛西市が中学校卒業まで(共に中学生以上に一部負担あり)対象を拡大。北名古屋市は対象年齢を拡大せず所得制限の緩和にとどめたため、小学生に自己負担が生じる県内で唯一の自治体となった。今回動きがなかった常滑市でも、中学校卒業まで対象拡大を公約に掲げ当選した市長が、「できるだけ早くやりたい」(朝日新聞4月27日)と表明するなど、拡大に向けた動きが見られる。
津島市の拡大により、2019年4月現在、「中学校卒業」以上を窓口負担無料の対象としている自治体は50市町村(92.6%)となった。未だ対象としていない残り4市には、「他市に比べ遅れていると感じる市民も多いと思う。子育て世代の一層の支援を図りたい」と拡大へ舵を切った津島市のように、子どものいのち・健康を守る観点から早急に決断すべきだ。

残る所得制限と 自己負担
しかし対象拡大する自治体が増加する一方、六市が助成に所得制限や自己負担を設けている。子どもが親の所得に影響されず等しく安心して医療を受けるためにも、所得制限や受診抑制につながりかねない自己負担は撤廃すべきである。

入院は18歳年度末まで広がる
入院についても県基準(中学校卒業)を拡大している自治体は十二市町村(22.2%)と2割を超えた。そのうち対象を18歳年度末まで窓口負担無料とする自治体は、名古屋市半田市みよし市が拡大し10市町村(18.5%)となった。
「子どもは成長するに従い、医療機関を受診する機会は減少する。何より急な入院による経済的不安を減少させることで子育て世帯へ安心感を与える」と拡大を決断した自治体もある。入院で中学校卒業まで対象としている自治体には、18歳年度末まで拡大することを検討して欲しい。
なお、入院時食事療養費助成を実施している自治体に変化はなく、北名古屋市東栄町のみであった。

働く若者に安心を
東郷町は既に入通院で18歳年度末までを対象としているが、今年の3月議会で18歳未満の就業者も対象とするよう条例改正案を議会に提案した。しかし、「財政が豊かな市町でもここまでの支援はない」などの意見が出され否決された(中日新聞3月23日)。今回18歳年度末までを対象としている12市町村に対し、18歳未満の就業者を対象としているか聞いたところ、6市町村(津島市東郷町南知多町設楽町東栄町豊根村)が対象としていないと回答。
18歳未満の労働者にとって、怪我や病気による医療費は大きな負担となる。東郷町でも対象は10人前後と言われている。対象としていない自治体には制度改正を求めていく。

※18歳年度末までの対象市町村で、中学校卒業後の就業者の対象可否(予定含む)
 対象となる:名古屋市半田市安城市犬山市みよし市飛島村
 対象でない:津島市東郷町南知多町設楽町東栄町豊根村

愛知県・国は制度拡充・創設を
静岡県の子ども医療費助成制度は愛知県制度より遅れていたが、昨年県が市町村に財政支援することを決断。これにより、全市町村が今年度中に18歳年度末まで対象拡大する(入通院とも)こととなった。
愛知県内の子ども医療費助成制度は各市町村の努力により前進してきているものの、やはり愛知県・国の支援は欠かせない。愛知県には対象拡大を毎年求めているが「拡大するつもりはない」と拒否し、拡大のための試算も行っていない。
国に対しては全国知事会も国による制度創設を求めている。保険医協会では、今後も愛知県に対し対象の拡大を、国には国の責任による制度創設を求めていく。