マクド難民 朝日新聞の記事紹介
1月14日付けの朝日新聞に下記の記事が掲載されていました。
お金がないから、ネットカフェにも泊まれずに、マクドナルドで夜を明かす人達がいます。
リーマンショック後に、派遣村ができるなど、世間に注目を浴びましたが、現在もなお、このような境遇に置かれている方が多数いることに、心が痛みます。
不景気だから仕方がない、非正規雇用だから仕方がない、自分達の責任だという声も聞こえてきそうですが、マクドで夜を明かす人達の気持ち、思いを、まずは、想像してもらいたいと思います。
先進国で豊かな国と言われる日本での現状です。
どこかがおかしいのでは。
この20年で、大企業は内部留保を積み増しする一方で、労働者の賃金は上がらず、下がっています。こんな国はありません。
大企業にきちんと社会的な役割を果たさせる、労働者の大きな運動が必要でしょう。
一人ひとりの労働者への個別の支援も必要だと思います。
まさしく、労働組合の出番です。
こんな現状を見過ごし、自分達だけ良ければでは、労働組合への市民の信頼が損なわれるでしょう。
相談員 長尾忠昭
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301120440.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201301120440
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大阪市の繁華街ミナミ。難波駅近くにあるマクドナルドは、午前0時になると店内の風景が一変した。サラリーマンや学生たちと入れ替わりに、くたびれた手提げ袋を抱えた男性たちが入ってくる。
「マクド(マクドナルド)難民」。大阪でそう呼ばれる人たちだ。
30~40代ぐらいだろうか。この夜もぼさぼさの髪に、黒や灰色のジャンパー姿の数人が、テーブルにうつぶせになったり、ソファに足を乗せたりして所在なげに過ごす。
「金がないから、ネットカフェには泊まらない」。パナソニックの工場で請負の仕事をしていた男性(35)は言う。深夜営業の店を渡り歩く生活を始めて1年近くたつ。
昼はパチンコ店内のソファなどで仮眠をとる。街を歩き始めるのは夕方からだ。スーパーで格安の総菜を買ってビルの片隅で食べた。コンビニエンスストアをはしごして暇をつぶし、最後はマクドナルドに入って休む。
「まさかこんな生活をするようになるとは」
パナソニックの工場では、自動販売機を組み立てる製造ラインで、4人チームのリーダーだった。ラインの調子が悪いと、夜でも頻繁に電話で呼び出された。睡眠不足とストレスがたまり、体を壊した。残業代は払われず、給料は手取り20万円ほどで「とても続けられなかった」という。
この男性と同じようにマクドナルドで夜を過ごすオキタさん(通称、40)も、昨年3月までは三重県亀山市にあるシャープの液晶関連の工場で派遣社員として働いていた。シャープが韓国企業にシェアを奪われ、工場生産が落ち込んだために仕事を切られたという。
電機関係の工場で働きたいと大阪に来たが、希望の職はなかった。ときどき土木の現金(日雇い)仕事で稼いで食いつないでいる。気持ちも落ち込みがちになり、最近、精神科の治療を受けた。マクドナルドで100円のハンバーガーを食べて夜明けを待つ日が増えた。
就職氷河期で正社員につけず、非正規社員になった若者たちが次々と職を失っている。明日のみえない不安のなかで、つかの間の休息をとる。深夜のマクドナルドはそんな場所になっている。
だがその静寂を切り裂くように、午前2時前、大音量の音楽が突然、鳴った。
飲食スペースの「閉店」を知らせるアナウンスに、男性たちは重い足取りで店を出る。ぞろぞろと向かった先は50メートルほど離れた新古書店ブックオフだ。
また夜がくるまで、街に埋もれて過ごす。そうすれば、マクドナルドの席があく。(中川仁樹)