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子ども食堂、県内にも 無料学習支援から発展 代表者ら連絡会で連携 /鳥取県

平成28(2016)年11月10日 朝日新聞 大阪地方版朝刊

 

子ども食堂、県内にも 無料学習支援から発展 代表者ら連絡会で連携 /鳥取県

 県内でも、家庭の事情で十分な食事がとれない子どもたちに無料か安い値段で食事を提供する「子ども食堂」が増えている。運営方法は様々だが、子どもたちを支え、成長を見守ろうという目的は同じ。倉吉市では食堂同士と行政が連携する取り組みが始まった。

 □鳥取

 先月11日夜の鳥取市人権交流プラザ調理室(同市幸町)。10人ほどがにぎやかに話をしながら、ポトフを煮込んでいた。中には中学や高校の制服を着た子の姿も。毎週火曜に開設される「とっとりこども食堂」では、子どもたちも調理に参加している。運営するのは困窮家庭の子どもたちに無料で学習支援をしている市内の民間団体「こども・らぼ」と市中央人権福祉センター。こども・らぼが2013年に同プラザで活動を始め、訪れる子どもたちに家庭の様子を聴くうち、一人親家庭では親が遅くまで仕事に追われ、1人で食事をすることが多いことがわかってきた。毎週火曜の活動日に食事を提供することを同センターと決め、昨年12月に開設した。食材は寄付などでまかない、子どもたちの負担はない。3年前から通っているという高校2年の女子生徒は「給食みたいで楽しい。勉強するだけだった以前より、みんなとの距離が縮まった」と笑顔を見せた。こども・らぼと同センターは子どもたちの家庭や学校での状況把握にも努めているという。同センターの川口寿弘副所長は、子どもの貧困は世帯の貧困でもあると指摘。「家族で様々な課題を抱える傾向がある。行政の支援策にもつなげたい」と話す。

 □倉吉

 倉吉市明治町にある日替わりオーナーの食堂で月1回開設される「倉吉こども食堂テラハウス」。市内の主婦、山本とも子さん(60)が今春、立ち上げた。自身も母子家庭で育った経験から「おいしくて栄養いっぱいの手料理を食べてほしい」と願う。バイキング形式を採り入れ、自ら調理して提供する料理はカレーライスやお好み焼きなど毎回約20種類。高校生までなら200円以内で食べられる。ただ、貧困対策と強調すると、かえって来づらくなるとも考え、大人も利用可にしている。幅広い世代の居場所作りに重点を置き、2階は子どもたちが宿題などをするのに利用できる学習スペースにしている。倉吉市では今夏までにテラハウスを含め三つの子ども食堂が開設された。いずれも民間が運営することもあり、互いのアイデアを共有し、行政と連携しようと「倉吉こども食堂連絡会」(仮称)を立ち上げた。そのための会合が9月下旬に倉吉福祉センター(同市福吉町)であり、市と市社会福祉協議会の担当者、来月に開設予定の食堂を含め四つの子ども食堂の代表者らが集まった。今後の活動として、「市内の遊休農地で、子ども食堂が共有できる畑をつくりたい」といった意見が出た。市社会福祉協議会事務局長の塚根智子さん(61)は「子ども食堂が必要とされている背景をどうするかが大切」と強調する。子ども食堂増加の背景には家庭の経済状況の悪化や地域のつながりが薄くなったことがあると指摘。子ども食堂が一定の役割を果たすことができると期待している。

 □継続へ県が支援の動き

 子どもたちの居場所作りに子ども食堂が果たす役割は大きいとして、県が支援の枠組み作りに動き出している。来年前半には県内の子ども食堂の連携組織を関係者らと立ち上げる。県福祉保健課によると、少なくとも鳥取、米子、倉吉、境港の4市で子ども食堂がある。いずれも子育て支援につながっていると評価。今後立ち上げる連携組織では、子ども食堂間で調味料や食材を融通し合ったり、県が運営を支援したりすることを想定している。民間主導の自発的な取り組みなので、継続できるかが課題という。同課くらし応援対策室の山下かおり係長は「長く活動を続けてもらうことが、子どもたちが安心できる居場所づくりにつながる」と話している。